農地等相続の基礎知識

 

農地を相続したときは農業委員会への届出が必要です。

農地を相続(遺産分割)した場合には、農地法第3条の許可を受ける必要はありませんが、農地等についての権利を取得したことを知った時点からおおむね10か月以内に農業委員会にその旨を届け出る必要があります(農地法第3条第1項第12号、農地法第3条の3)。

また、遺言により包括遺贈又は相続人が特定遺贈を受けた場合も届出が必要になります(農地法第3条第1項第16号、農地法施行規則第15条第5号、農地法第3条の3)。注意しないといけないのは、相続人以外の者に特定遺贈をした場合は農地法第3条の許可が必要になりますので、相続人ではない場合の孫などに遺贈する場合はお気を付け下さい。

なお、届出をしなかったり、虚偽の届出をした場合は10万円以下の過料の対象となります(農地法第69条)。

種類 農地を取得する者 農地法第3条許可
遺産分割 相続人 不要
包括遺贈 相続人又は相続人以外 不要
特定遺贈 相続人 不要
特定遺贈 相続人以外 必要

※遺産分割で農地の所有者になった相続人が、遺産分割後に他の相続人に所有権を移転する場合は農地法第3条の許可が必要になります。

●遺贈とは

遺贈とは、遺言によって遺言者の財産の全部又は一部を無償で他に譲り渡す行為(遺言による贈与)です。遺贈には下記の包括遺贈と特定遺贈があります。

 

●包括遺贈とは

包括遺贈とは「全財産の1/2(あるいは全部)を甲に遺贈する」などのように、特定の財産ではなく、「財産全体に対する割合」を指定して財産の全部又は一定割合の部分を遺贈することです。包括受遺者は相続人と同一の権利義務を負うことになりますので、プラスの財産だけでなく、遺贈された割合でマイナスの財産(債務)も引き継ぎます。

 

●特定遺贈とは

特定遺贈は「山形県山形市○○○△-△-△の土地を甲に遺贈する」、「山形県山形市○○○△-△-△の土地の1/2を甲に遺贈する」などのように「特定の財産」を指定して遺贈することです。特定遺贈の場合は、マイナスの財産(債務)は引き継ぎません。

 

森林法の届出

森林を相続したときは森林法の届出が必要です。

相続などで森林を新たに取得したときは、相続開始の日(被相続人の死亡の日)から90日以内に、取得した森林がある市町村の長に届出を行う必要があります(森林法第10条の7の2第1項)。遺産分割が終了していない場合であっても、法定相続人の共有物として届出を行わなければなりません。

なお、届出をしなかったり、虚偽の届出をした場合は10万円以下の過料の対象となります(森林法第214条)。

対象となる森林

届出の対象となる森林は、都道府県が策定する地域森林計画区域内の民有林です(各市町村の林務担当部署で確認することができます)。取得した面積の大きさに関係なく届出が必要です。また、登記上の地目ではなく、現況が森林の状態となっているかどうかで判断されます。

森林法の届出手続き

届出書に新たな所有者と前所有者の住所・氏名、所有者となった年月日、所有権移転の原因、土地の所在・面積などの事項を記入し、下記の書類を添付した上で、相続した土地(森林)がある市町村の林務担当部署に提出します。

  1. その森林の土地の位置を示す図面
  2. その森林の土地の登記事項証明書(登記を行わない場合は遺産分割協議書などでも可能)
行政書士佐藤陽介事務所 TEL 023-664-1077
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